UVSOR Lunch Seminar (2004-04,05)

日時:12月17日(金曜日)17:00〜18:00
場所:UVSOR棟304号室(共同利用研究室)


講演者:高田昌樹 主席研究員 (JASRI/SPring-8) 
題名:MEMと放射光粉末回折による構造物性の研究

要旨:新奇物質の物性と構造の精緻な関係を明らかにするためには、単なる原子配列
としての構造情報だけではなく、原子の結合形態の情報を含む物質の電子の分布まで
の精密な構造情報が必要である。我々は、マキシマムエントロピー法(MEM)を用い
た電子密度解析法を発展させ、金属内包フラーレンの構造解析に世界で初めて成功し
た。その後、種々の物質の構造解析に応用することにより、第三世代のSPring-8から
発生する放射光が、物質の精密構造情報を提供できる強力な手段であることを示して
きた。発表では、特異な構造を持つ金属内包フラーレン、物質中に取り込まれた酸素、
水素などの直接観察のなど、SPring-8の放射光データを用いた新規材料の構造評価の
有用性について述べる。

 

講演者:田中均 主幹研究員 (JASRI/SPring-8)
題名:SPring-8 光源性能の現状と今後の展開 -- 第4世代への橋渡し役を目指して --      

要旨:今年の5月から、一定の電流値を維持するトップアップ運転の本格的運用
がSPring-8 で開始された。通常の運転に比べ、実験ハッチでのX線ビーム安定性が格
段に向上したとの報告が多数のユーザーからもよせられている。発表は、現状の性能
の紹介と残された問題点を中心に行うが、後半で、今後、SPring-8 光源をどのよう
に発展させていくのか、その方向性と私案(正式に是認されたものではないく、単な
る一個人の考え)も紹介したい。