物質や分子を観察するためには、それに適した光が必要です。
私たちにとって最も大切な光といえば太陽光ですが、その光には、目に見える「虹の七色」(可視光線)以外にも、日焼けの元になる紫外線や、暖かさを感じる赤外線が含まれています。 紫外線は可視光よりエネルギーの大きい、赤外線は小さい光です。 宇宙に出れば、太陽からは紫外線よりエネルギーの大きなX線、ガンマ線や、赤外線よりエネルギーの小さいテラヘルツ波やマイクロ波も放射されていることがわかります。
UVSOR施設は、この宇宙の太陽光のエネルギー範囲を、1000倍から10億倍、可視光では1億倍の明るさでカバーする光(放射光)をUVSOR-IIIシンクロトロンにより発生させ、 これを様々な特徴をもったビームラインを通して、利用者に使いやすいかたちで提供しています。
太陽光は緑色(グラフの2eV付近)が最も明るいですが、UVSORの放射光は10-1000eV付近の領域で特に強くなっています。 この領域の光は、物質と強く相互作用するため、電気伝導や磁性、発光など、物質が示す様々な特性の起源の探究から、生命や宇宙にまで広がる、様々な研究に活用されています。
また小型施設のフットワークの軽さを活かして、渦光など新しいタイプの光を作り出す研究が活発なことも特色です。
エンドステーションに供給される放射光
電子銃・線形加速器とブースターシンクロトロン
電子輸送路
電子蓄積リングとビームライン
UVSOR-III (ユーヴイソールスリー) は、光を発生させるための1周53mの電子蓄積リングと、蓄積リングにほぼ光速まで加速された電子を打ち込む入射器 (電子銃・線形加速器とブースターシンクロトロン) からなる加速器の複合体です。 UVSORは40年以上前に建設された施設ですが、2003年 (UVSOR-II)、2012年 (UVSOR-III) に行われた高度化改造を経て新しい技術を積極的に取り入れることで、今日でも小型低エネルギーシンクロトロン光源としては、世界最高水準の高い性能を誇っています。将来構想として、生命科学分野を革新する新型光源を目指したUVSOR - IV建設計画を打ち出し、実現に向けて努力を重ねています。
八角形の電子蓄積リングをほぼ光速の電子が回っています。八角形の各頂点では「偏向電磁石」により電子が曲げられ、そのとき非常に強い光が発生します。また8本の直線部のうち6か所には小さな磁石をたくさん並べた装置「アンジュレータ」があり、電子が蛇行することで、さらに強い光が発生します。これらの光は13本のビームライン (BL1U, 1B, 2B, ..., 7U, 7B) の中に設置された、下図のような「分光器」によって必要な光だけが選択され、各BLに接続された実験装置「エンドステーション」に供給されます。
ビームラインからの光はエンドステーションに導かれ、それぞれの実験装置では、光を用いて物質・分子のかたち・仕組み・働きを探る、様々な実験が行われます。これらの実験装置は国内外の研究者や民間企業の利用者に広く開放され、分子科学をはじめとする研究・開発に利用されています。