UVSOR施設(自然科学研究機構 分子科学研究所 極端紫外光研究施設)は国内外の研究者に広く共同利用されている研究施設です。1周約50mの電子蓄積リングから放射されるシンクロトロン光(放射光)は10数台の実験装置に導かれます。UVSOR施設が稼働を始めたのは1983年です。当初は世界的にも貴重な数少ない放射光施設の一つでした。その後、科学技術の急速な進歩により、特徴的な放射光施設が世界中に建設されていきました。UVSORも時代毎に新しい光源開発技術を積極的に取り入れ、2度の高度化に成功してきました(現在はUVSOR-III)。その結果、今日においても、低エネルギー放射光施設としては世界的にも最高水準の高性能を維持しています。一方で、実験観測技術の進歩も目覚ましいものがあり、各放射光施設が特徴のある実験法を提供しています。UVSORでは今後、イメージング技法の強化を重点課題に位置付け、分子科学における研究推進に貢献していきたいと考えています。分子科学が意味する分野の裾野は広がってきています。いわゆる物理化学分野に留まらず、バイオ分野や環境・エネルギー分野を含めて、様々な物性や機能を司る現象を見出し、その相関や因果関係を明らかにしていくことが求められています。当施設が国際的な分子科学研究拠点として国内外の優れた研究者に利用していただけることを願っております。
解良 聡
平成30年4月吉日